危険度
★★★☆☆(遭遇時の損害は大きいが、戦闘能力は高くない)
【特徴】
擬態スライムは、透明でゼリー状の身体を持つスライム型の魔物で、その最大の特徴は、周囲の環境に溶け込む高度な擬態能力と、貴重品への執着にあります。
本来は小動物にも脅威とならないほど弱く、おとなしく、「ぷるぷるしていて可愛い」と評されることも多いのですが、それはあくまで“見た目”の話。
実際には、冒険者たちのバッグの隙間や宝石箱の底、ポーチの奥などに忍び込み、貴重なアイテムを溶かして吸収するという厄介極まりない性質を持っています。
特に光を反射するもの、魔力を帯びたものに強い執着を示し、キラキラと輝く宝石や魔道具は、彼らにとっての“ごちそう”。
姿は透明に近く、周囲の色や光を取り込んで同化できるため、森や湿地帯、木陰などではほとんど視認できず、足元にいることに気づかないまま踏んでしまうことも珍しくありません。
戦闘能力は高くないものの、見えないうちに持ち物を失うという精神的ダメージが大きく、一部の冒険者の間では「見た目以上に可愛くない魔物」として名を馳せています。
さらに特筆すべきは、擬態スライムの“顔”のように見えるその構造。
一見、目のように見える二つの黒い部分や表情のようなラインは、実はただの模様にすぎず、相手に油断させるために進化した“偽装フェイス”であると考えられています。
この模様が「あ、目が合ったかも?」という錯覚を引き起こし、結果として「感情を持っていそう」「可愛い」と誤認され、危機感を薄れさせるという、極めて巧妙な生存戦略を取っているとも考えられています。
【生態】
擬態スライムは、人里から遠く離れた森の中や、魔力の集まりやすい沼地などに生息しています。
昼間はほとんど動かず、落ち葉の下や倒木の影でじっと身を潜め、冒険者や旅人が通りかかるのを待っています。
宝石や魔道具の残留魔力などに敏感に反応し、それらの気配を察知すると、じわじわと近づいてきて、獲物が荷物を地面に置いた瞬間や、眠っている間を狙って内部に侵入します。
侵入後は、内部にある貴重品だけをじっくり溶かしながら吸収していき、周囲に擬態しながらその場を離れるというステルス性の高い行動パターンをとります。
ごくまれに、吸収した魔力の特性に反応して、体内からほのかに光を放つ個体も現れます。
この発光現象は美しく幻想的で、一見すると「レアアイテム」に見えるため、魅入られた冒険者が手を伸ばした結果、さらに深刻な被害に遭うという報告もあります。
また、魔力の質によっては一時的に擬態スライムの性質が変質し、溶かす速度が早くなったり、軽く電撃を帯びたりする変異反応も確認されています。
イラストレーター:7913

