願いの精霊の書 FOREST&FORTUNE
――深層、月蝶の舞う樹間。
それは、あまりにも静かな夜だった。
「…これが、願いの精霊の書?」
少女は、震える指でページをめくった。
古びた装丁。けれど中身は、まるで生きているかのように動き、輝いている。
描かれていたのは、見たこともない財宝に魔道具、未知の魔獣の卵、空を翔ける靴、時を操る砂時計まで。
「ほんとに、どれかひとつ…叶うの?」
問いに応えるように、ページからふわりと風が吹き出し、淡く輝く光が空中に現れる。
それは人の形を模した、だが顔が見えない“何か”。
精霊だった。
「願いは、一つ」
声はなかったが、心に響いた。
少女はページをじっと見つめた。
どれも、魅力的だ。
だけど――
「これが欲しい」
少女が指差したのは、一冊の本。
《禁じられた記録》と記されたページ。
精霊は静かにうなずくと、身体をひとひらの紙のように広げ、本からその絵を抜き出した。
瞬間、魔法陣が地面に走り、ページが破れる音とともに空に舞う。
本の中身は、ばらばらと光となって消えていく。
ただ一冊、少女の手の中に、その書だけが残った。
「これで…私も、姉のように」
思わず強く抱きしめる。
森の奥深くに存在すると言われる、不思議な魔道具たち。
その中でも“願いの精霊の書”は、選ばれた者しか目にすることすら叶わない幻の遺物。
使えばその力は現実となるが、代償として、書はこの世から消える。
「ありがとう…また、きっと」
彼女の言葉に、精霊は小さく頷くと、そのまま風となって散っていった。
そして森は、再び静寂に包まれる。
【イラストレーター】
天海こめつ
コスプレイヤー、イラストレータ等マルチに活動をしております。
今後とも活動に尽力していこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします!
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【文章】
SATO TAKERU

